名作、なんて面白いんだ! 「地底旅行」(倉薗紀彦)

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 【松尾慈子】フランスの小説家ジュール・ヴェルヌが約150年前に書いた冒険SF小説がこの「地底旅行」だ。何度も映画化され、テーマパークの人気アトラクション「センター・オブ・ジ・アース」の原作となるなど、不朽の名作である。

 「決定的コミカライズ!」と帯にうたった本作。まずは書店で見かけたときに、とりあえず1巻だけを買ってみた。昼休みのうちに読み終えて、そのままその足で2巻を買いに行った。なんて面白いんだ! 150年前という古くささをまったく感じさせない、その迫力とスピード感、自然の不思議さ。その日のうちに、当時の挿絵をそのまま収録してある岩波文庫「地底旅行」(訳・朝比奈弘治)も弊社書庫から借りてきた。ヴェルヌの代表作「海底2万マイル」もついでに借りた。というわけで、私はこの1週間、ちょっとした1人ジュール・ヴェルヌ祭りだったのだ。それほどに人を熱狂させる魅力がヴェルヌにはある。そして、その魅力を、描き込んだ緻密(ちみつ)な画面でみごと再現した、この倉薗という漫画家もまたすごい。

 19世紀ドイツ。主人公の青年アクセルは、伯父であるリーデンブロック教授のもとで実験助手をしていた。偏屈なこのリーデンブロック教授は、16世紀の錬金術師が書いたとみられる暗号メモを見つける。「火山の火口を降りれば地球の中心に到達する」というメッセージを読み解いた教授は、気の進まないアクセルを連れてアイスランドへの旅に出る。

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 ドイツでの暮らしぶりや、ア…

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