「餓島」の岩陰、眠る日本兵 遺骨収容、74年経てなお

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編集委員・永井靖二
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 旧日本軍将兵の遺骨約7千柱が、いまも取り残されているソロモン諸島の「ガダルカナル島」。真珠湾攻撃から75年を前に南洋を取材した9月初旬、収容活動に取り組むグループと出会った。密林の急斜面で、岩陰で。食料も援軍もない強行軍に力尽きたとみられる遺骨が次々と見つかった。

 背丈は2メートルを超しているだろうか。カンナに似た花が茂る密林の急斜面。そのくぼ地で、遺骨は見つかった。

 大腿(だいたい)、腰、脊椎(せきつい)……。粘土質の地中約30センチから、土の色を帯びた骨が次々と出てきた。「散乱していないから、埋葬されたのだと思います」。遺骨を収容しながら、作業療法士の山登(やまと)孝則さん(28)は語った。

 山登さんは現地の青年海外協力隊員。ガダルカナル島で1942年8月から半年間ほど続いた攻防の末に撤退した旧日本軍の行路沿いで、近年続いている遺骨収容活動にボランティアで加わった。この活動に取り組むのは、従軍した将兵と遺族、有志からなる「全国ソロモン会」と、NPO法人「JYMA日本青年遺骨収集団」だ。

 さらに、隣から2体が見つかった。一緒に出てきた軍服用ボタンにより、日本兵と分かった。歯や頭骨の脇に、薬らしきガラスの小瓶もあった。かすかに正露丸のような臭いが残っていた。

 遺骨は3体とも北枕だった。

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 「精いっぱいの供養だったん…

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