夏目漱石「吾輩は猫である」158

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 老人は重たそうに取り上げて「失礼でがすが」と主人に渡す。京都の黒谷(くろだに)で参詣人(さんけいにん)が蓮生坊(れんしょうぼう)の太刀(たち)を戴(いただ)くようなかたで、苦沙弥先生しばらく持っていたが「なるほど」といったまま老人に返却した。

 「みんながこれを鉄扇々々というが、これは甲割と称(とな)えて鉄扇とはまるで別物で……」

 「へえ、何にしたもので御座…

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