制服に妄執した芸人の女性観(きょうも傍聴席にいます)

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塩入彩
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 高校に忍び込み、女子高生の制服を盗んだとして逮捕されたのは、コント日本一にも輝いた人気お笑い芸人だった。彼が法廷で語ったのは、華やかな芸能界での活躍とはかけ離れた複雑な心の内だった。

 2016年3月2日、東京地裁429号法廷であった初公判。人気お笑いコンビで主に「ツッコミ」を担当していた被告の男(45)は、黒いスーツ姿で証言台の前に立った。

 裁判官「起訴内容に間違いはありませんか」

 被告「間違いありません」

 被告の起訴内容は、14年から15年に東京都内などの高校に忍び込み、女子高生の制服などを盗んだというもの。逮捕容疑と追起訴分を合わせ、8校に侵入し、うち6校から25人分の制服などを盗んだとされる。

 被告が盗みに及んだのはこれだけではない。検察側は冒頭陳述で「被告は自ら認めているだけでも、20年ほど前から繰り返し制服を盗み出していた」と指摘した。

 なぜ、人気芸人になってもこのような犯罪をやめられなかったのか。半年後の9月2日に行われた被告人質問で、被告は中学時代にさかのぼって制服への興味について語り始めた。

 弁護人「なぜ制服に興味を持ってしまうのですか」

 被告「中学校に上がってすぐ、小学校まで普通に話していた女子生徒にからかわれるようになり、制服や制服を着ている女性への劣等感を感じました」

 中学、高校では、同じ年頃の女の子たちとうまく接することができなかったという被告。制服への劣等感の反動が、制服への強い興味につながったという。

 被告「生身の女性は怖かったので、物である制服に向かったのではないかと思います」

 その興味が犯罪へと変わったのは約20年前。被告はきっかけとして、1997年の母親の自殺を挙げた。

 被告「亡くなってしまった喪失感以上に、一緒に暮らしていて母の決意を知らされていなかった驚きや、母を支えてやれなかった後悔がありました」

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 母親は難病に冒されていたが…

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