特にカニがいい(小原篤のアニマゲ丼)

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 「ジブリの最新作がフランスからやって来る」というナゾの宣伝文句と共に、長編アニメ映画「レッドタートル ある島の物語」が17日から公開されます。製作はスタジオジブリと仏のワイルドバンチ、監督はオランダ生まれのマイケル・デュドク・ドゥ・ビットさん。孤島に男が漂着したことから始まる寓話(ぐうわ)は、小さな生命のつながりと大きな自然の広がりを悠然と語り、最後は涅槃(ねはん)寂静の境地へ。

 さて、来日した監督にうかがったお話(ネタバレなし)に入る前に、デュドク・ドゥ・ビットさんに仏アヌシー国際アニメーションフェスティバルグランプリと米アカデミー賞短編アニメ賞をもたらした名編「岸辺のふたり」(原題「Father and Daughter」/8分30秒/2000年)の思い出を。

 物語はある岸辺で展開されます。幼い日、父は岸辺で幼い娘を抱きしめてからボートに乗ってそのまま帰らず、その日から娘は父の面影を求めて岸辺をたびたび訪れます。少女となり、恋を知り、子をなし、年老いても……。そしてついに、老嬢最期の夢か彼岸の世界か、岸辺を降り「ドナウ川のさざ波」のメロディーに乗って駆けだした娘が父と抱き合う涙、涙のラスト。セリフもないこんなシンプルな絵の短編に、これほど心を揺さぶる力があるのかと見た人はみな驚くでしょう。問題は、待ち構えていた父が昔のままの姿なのに、駆け寄る娘は老婆から若返って20歳前後とおぼしき姿になること。老婆のままでも別れた幼児期の姿でもなくて、これはいったいナゼ? この疑問に対し、ロシアの巨匠ユーリ・ノルシュテインさんはきっぱりと言いました。

 「娘というものは、父親に一…

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