オープニングは2度見ろ(小原篤のアニマゲ丼)

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 私は勝手な未来を思い描いていました。ジブリ長編なき後、細田守監督のようにメジャー作品で幅広い観客を集められるアニメ監督(あるいはそのチーム)として、こんな人たちが有望なのではないか、とまあ、酒の席などで偉そうに予想を開陳していたのです。

 私の頭に浮かんだのは、まず既に興行的に実績を上げている監督長井龍雪さん・脚本岡田麿里さん・キャラクターデザイン田中将賀さんの「心が叫びたがってるんだ。」チーム。続いて、監督山田尚子さん・脚本吉田玲子さん・キャラクターデザイン堀口悠紀子さんの「たまこラブストーリー」チーム、そして「サカサマのパテマ」監督の吉浦康裕さん。そしてこれに続くとすれば、映画「ねらわれた学園」ではっちゃけたあとテレビアニメ「灰と幻想のグリムガル」ですごみすらある演出力を見せた中村亮介監督。こんな顔ぶれでした。

 昨年12月、東宝が新海誠監督を起用し翌年夏公開の長編アニメとして「君の名は。」を作ると発表した時は、正直「うーん……?」と思いました。ジブリの指定席だった「東宝の夏アニメ」は特別なポジションです。細田監督が「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」をヒットさせ、「ポストジブリ」を担う看板となりました。東宝がそんな看板をもう1枚増やしたいと新海監督に期待しているのが伝わってきましたが、新海監督が2011年に発表したジュブナイル風の長編「星を追う子ども」が私の目にはいま一つだった(11年5月9日の本欄「奇妙な果実」参照)後、13年に中編「言の葉の庭」を発表した時「やはり新海さんの本領はこうした思春期の(思春期を引きずった大人の)甘く切ないセンチメントに特化した中編なんだ」と思ったのでした。興行規模から言えば、作風はまるで違いますが押井守監督とか今敏監督のような感じ。だから東宝のメジャーなエンタメ大作といった方向性とはズレを感じたのでした。

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 しかし、東宝が発表した「君…

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