赤ちゃん窒息死、ベビーベッドで救え 米国で成果

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板橋洋佳 編集委員・大久保真紀
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小さないのち

 米国ペンシルベニア州ピッツバーグの倉庫。ここから毎日、ベビーベッドが出荷されていく。

 起業家のジュディス・バノンさん(71)らが始めた会社クリブ・フォー・キッズが低所得世帯に格安で提供するベッドだ。「赤ちゃんが安心して眠れる環境を作りたい」とバノンさん。

 きっかけは、同州が1994年に導入した子どもの死亡事例登録・検証制度「Child Death Review(チャイルド・デス・レビュー、CDR)」の分析結果だった。睡眠中に子どもを亡くした家族の8割が低所得者層。その9割がベビーベッドを持たず、親の腕や布団が乳児の顔に覆いかぶさるなどして亡くなっていた。

 仲間4人と資金を募り、Alone(アローン、赤ちゃんだけで寝る)、Back(バック、うつぶせでなく仰向け)、Crib(クリブ、大人用でなくベビーベッド)の頭文字をとる「ABCキャンペーン」を始めた。06年ごろから企業と提携してベッドを安く大量購入し、1台約50ドル(約5千円)と市価のほぼ半値で提供している。

 輸送会社の協力で一部で無料配送も始まり、全米向けに出荷したベッドは40万台を超えた。

 連邦政府などの啓発活動もあり、同州で睡眠中に亡くなった子どもは109人(99年)から48人(13年)に減った。バノンさんは「悲しい死に向き合い将来につなげる。CDRの分析があればこそ実現できた」。

 米国では、すべての州に子どもの死を検証するCDR制度がある。78年にロサンゼルス市が虐待死を見極めるために導入したのが始まりだ。

 CDRには警察や福祉の関係…

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