愛情と切なさと 「親の介護、はじまりました。」(堀田あきお&かよ)

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 【松尾慈子】「不妊治療、やめました。」(ぶんか社)を以前に紹介した、堀田あきお&かよ夫妻のエッセー漫画の新作である。子どものない人生への覚悟を決めた2人に、今度は親の介護という難題がふりかかる。夫妻とも1960年前後の生まれ。70年生まれの私とは一回り違いで、「ああ、私もあと10年もすればきっと……」と身につまされる本作であった。上下巻だが、作者の母親への深い愛情と遠距離介護の切なさが胸にせまり、一気に読まされてしまう。

 かよの実母は、群馬で父と2人暮らし。8年前に大腿(だいたい)骨を折って、72歳にして歩けない体になってしまったのだ。夫妻が住む東京からは車で2時間半。遠(中か?)距離介護の始まりである。

 基本的には明るく前向きな母トシ子のキャラクターに救われる。かよと深い愛情で信頼しあっている様子に、介護の悲壮感は薄らぐ。だが、かよの父親がくせ者で、がまんができずにすぐ爆発し、妻の介護に対しても非協力的。自宅をバリアフリーにするリフォームにしても、ヘルパーさんに家に来てもらうにしても、面倒がって反対する。ああ、うっとうしい!

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 骨折が治って自宅に帰っても…

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