夏目漱石「吾輩は猫である」7

有料記事

[PR]

 吾輩は少々気味が悪くなったから善い加減にその場を胡魔化(ごまか)して家(うち)へ帰った。この時から吾輩は決して鼠をとるまいと決心した。しかし黒の子分になって鼠以外の御馳走を猟(あさ)ってあるく事もしなかった。御馳走を食うよりも寐ていた方が気楽でいい。教師の家(うち)にいると猫も教師のような性質になると見える。要心しないと今に胃弱になるかも知れない。

 教師といえば吾輩の主人も近頃に至っては到底水彩画において望(のぞみ)のない事を悟(さと)ったものと見えて十二月一日(じつ)の日記にこんな事をかきつけた。

  〇〇という人に今日の会で…

この記事は有料記事です。残り1463文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら