【アーカイブ】「無届け施設に多数の高齢者」 事前情報、行政生かせず 群馬の老人施設火災
【2009年3月28日 朝刊社会面】
火災で入所者10人が死亡した群馬県渋川市の「静養ホームたまゆら」について、群馬県は「無届けながら有料老人ホームに近く、生活保護受給者が多数入所している」との情報を2年半前に得ており、2月には渋川市が施設内を調査できる機会があったことがわかった。こうした情報や機会が生かされなかった背景には、規制の枠組みが実態に合わず、行政機関の連携も取りにくいという「福祉の空白」が浮かび上がる。
たまゆらに関係しそうな法律は五つあり、県の二つの課、渋川市の二つの課と消防、東京都墨田区など生活保護受給者を送り込んでいた行政がかかわっている。
このうち県介護高齢課は06年7月、NPO・ボランティア推進課から「生活保護者や高齢者を対象に施設を運営しているNPOがある」との連絡を受けた。しかし、介護高齢課は9カ月後に、有料老人ホームの届け出をしていない施設向けに説明会を開いて、たまゆらを運営する彩経会にも出席を求めただけ、しかも、彩経会は欠席した。
老人福祉法で県に届け出の義務がある「有料老人ホーム」には「該当しない可能性がある」と県介護高齢課はいう。
有料老人ホームに該当するかどうかの調査は任意で、強制力もない。「該当しません」「調査は拒否します」と言われれば打つ手がなく、依頼を続ける以外にないという。
県はその後も2度にわたって彩経会に業務内容の報告を求めた。回答が来たのは今年3月3日。火災は、県が予定していた現地調査の4日前に起きた。
県や市が施設内に入り得た機…
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