ラグビーW杯準Vの豪州 チームの強みは個の「多彩さ」

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郷富佐子@シドニー
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南十字星の下で

 ラグビーの第8回ワールドカップ(W杯)イングランド大会は10月31日、「タスマン海越し(Trans―Tasman)の決戦」でニュージーランド(NZ)がオーストラリアを制し、幕を閉じた。NZ時間では11月1日午前5時、シドニー時間では同日午前3時の試合開始だったが、ラグビーファンはベッドからはい出て観戦したことだろう。私もその一人だ。

 劇的な南アフリカ戦の勝利で、日本でもラグビーが注目を集めていると聞く。30年来のラグビーファンとしては、にわかブームだとしてもうれしい限りだ。

 特に、五郎丸歩選手の独特な指のポーズは、25年ほど前に早稲田大のバックスだった今泉清選手のプレースキックを思い出させる。当時のファンは国立競技場や秩父宮競技場で、後ずさりする今泉選手の歩調に合わせて「いーち、にー、さーん……」と絶叫したものだ。ああ、なつかしい。

 さて、今回の日本代表監督を務めて日本でもすっかり有名人になったジョーンズ氏は、ご存じの通りオーストラリア人だ。ほかに、31人の選手のうち7人がNZ出身だった。さらに、五郎丸選手は、来年2月から「スーパーラグビー」でオーストラリアのチームに加入が決まった。日本のラグビー界はオーストラリア、NZとすでに切っても切れない関係にあるのだ。

 準優勝したオーストラリア代表チームの愛称は、ワラビーズという。カンガルーに似た、ちょっと小さいかわいい動物だ。ワラビーズからはこの秋、フォラウ選手が日本のトップリーグのNTTドコモで、フォーリー選手がリコーでプレーすることが決まっている。

 私はシドニー赴任後、2年余りにわたってワラビーズを応援してきたのだが、つい最近までは正直、ここまで強くなるとは思わなかった。決勝まで進んだのは、就任してまだ1年のチェイカ監督のコーチングのたまものだと思う。なにしろ、マッケンジー前監督時代の末期はNZや南アはもちろん、ずっと格下だったアルゼンチンにも負けて、ボロボロ状態だった。

 チェイカ監督によると、今の強さは「jokers, lovers, fighters」などがそろった「多彩さ」だという。確かに、テレビでトレーニングやロッカールームの様子を見ていると、おどけて踊ったり、仲間に熱く語ったり、無口だったりと、選手としてだけでなく性格も多様な印象を受ける。

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 なかでも一番の「変わり種」…

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