夏目漱石「門」(第八回)三の二

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 御米は女だけに声を出して笑ったが、御櫃(おはち)の蓋を開けて、夫の飯を盛(よそ)いながら、

 「兄さんも随分呑気(のんき)ね」と小六の方を向いて、半ば夫を弁護するようにいった。宗助は細君から茶碗(ちゃわん)を受取って、一言(ひとこと)の弁解もなく食事を始めた。小六も正式に箸(はし)を取り上げた。

 達磨はそれぎり話題に上(の…

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