夏目漱石「それから」(第百回)十六の三

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 「僕にはそれほど信用される資格がなさそうだ」と苦笑しながら答えたが、頭の中は焙炉(ほいろ)の如く火照(ほて)っていた。しかし三千代は気にも掛からなかったと見えて、何故(なぜ)とも聞き返さなかった。ただ簡単に、

 「まあ」とわざとらしく驚ろいて見せた。代助は真面目になった。

 「僕は白状するが、実をいう…

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