この野郎、余裕かましてやんな(小原篤のアニマゲ丼)
5月22日に行われた第19回手塚治虫文化賞贈呈式を取材して一番の衝撃だったのは、「聲の形」で新生賞を受賞した大今良時さんのあいさつ冒頭のこのくだり。
「手塚先生は、私が生まれた時にはいらっしゃらなかったんですけど、小学校の図書室にあった『ブッダ』に感動して夢中になって読んだ記憶があります」
1989年生まれ(この年の2月9日、手塚治虫さん死去)という大今さんのプロフィルから予想はついたことでありますが、会場でメモを取りつつ小さく「オオオ」と声を上げてしまいました。
一番オモシロかったのは贈呈式に続く記念イベント。今回の短編賞受賞者の吉田戦車さんと、第10回短編賞受賞者で妻の伊藤理佐さんによる「祝・夫婦で短編賞作家に!」記念対談でした。それぞれ、「まんが親」と「おかあさんの扉」という子育てマンガを絶賛連載中のお二人の夫婦漫談は、ときおり訪れる微妙に間が持たない気まずさも一つの味わい、という感じで会場を大いに沸かせました。今回はその模様をお送りします。あの「間」を文字で再現するのは難しいのでサクサク進む感じでまとめてみました。
吉田「手塚治虫文化賞って、マンガ大賞は事前にノミネートが発表されるけど短編賞はいきなり『受賞した』って連絡が来る。スピリッツの編集からの電話だったんで『描き直しかなー』と思ったら『受賞したそうですが、受けますか?』。いやビックリした」
伊藤「夜8時くらいに電話が来たから、岩手のお義母さんからだと思った。『いただきます! いただきます!』って言ってるから、あぁ頼んでた乾麺が見つかったんだな、と。私の時は双葉社の担当さんからだった」
吉田「伊藤さん、もうその世界の先輩だからね。受賞を喜んでくれたんだけど『この野郎、余裕かましてやんな』って感じで」
伊藤「だって『おめでとう!…
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら