ハラのすわったオヤジは怖い(小原篤のアニマゲ丼)

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 仮面ライダー1号の本郷猛が怒ってましたね。仮面ライダー鎧武(ガイム)の紘汰に向かって「お前のようなヒヨッ子を、ライダーと認めるわけにはイカンッ!」と。

 公開中の「平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊」は文字通り、平成と昭和のライダーが闘うお話。「マジンガーZ対デビルマン」の昔から「対」と書きつつ実は「共闘」というのが東映の得意技ですが、今回はその得意技も見せつつちゃんと「対決」があります。本郷さんの言い分は、平成ライダーたちの生ぬるい優しさが敵を招いた、という「言いがかり」スレスレのものなので、それならまず「映画のタイトルが長いっ!」って怒ってくれよとか、「戦隊ロボを出すとはけしからん! ライダーならパンチとキックで勝負をつけろっ!」って叱ってよ、なんて思ったりしたんですが、がっしりアゴの本郷さんにはほっそりアゴの優男ぞろいの平成ライダーたちが頼りなく見えるのでしょう。とりわけ紘汰くんは、仮面ライダーになった理由が「ダンスの場所取りゲームで楽勝できるから」というたいへん軽薄なものだったので、昭和オヤジの怒られ役にはちょうどよかったのかも知れません。彼も後になって悩んだり苦労したりしてますけど。

 こんな風にあれやこれやとくだを巻いたところで、本郷猛の気合入りまくりの変身ポーズが理屈も思惑もすべて吹っ飛ばします。さすがは藤岡弘、さん。渾身(こんしん)の一撃を放つラオウかケンシロウみたいな貫禄たっぷりの面構えとうむを言わせぬ迫力で、平成も昭和も丸のみです。オレンジをモチーフとした鎧武なんて、1号の前ではバッタににらまれたオレンジ(?)も同然。映画公開まで秘密だった「昭和」対「平成」の勝敗も、劇場で見た時は「えー? うそ~ん」と思いましたが、あれは「平成」流の優しさを温かく見守る「昭和」の余裕ってヤツでしょうか。エンドタイトルは新サイクロン号で風を切る本郷の雄姿。どう見ても主役でしたね。

 オヤジの迫力に飲まれた映画…

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