【解説】
 ポーランドが生んだ作曲家ショパン。「ピアノの詩人」とも呼ばれた彼は、日本人にとりわけ愛されている作曲家の一人です。胃薬のCMで長年使われてきた「前奏曲第7番」や、ソナタ第2番の第3楽章「葬送行進曲」がぱっと思い浮かぶ人は多いでしょう。そういえば2月の平昌五輪・フィギュア男子で2大会連続金メダルを成し遂げた羽生結弦選手がショートプログラムで用いたのは「バラード第1番」でした。また今年初め、東京メトロが日比谷線で試験的に流したBGMのひとつに選ばれたのは「夜想曲第2番」でした。

 彼の名を冠したショパン国際ピアノコンクール。チャイコフスキー国際コンクール、エリザベート王妃国際音楽コンクールと並ぶ音楽界の「3大コンクール」のひとつです。90年以上の歴史を持ち、5年に1度、故郷ポーランドで開かれます。他の二つのコンクールとは異なり、ピアノ部門しかなく課題曲も彼の作品のみというのが特徴です。

 今回取り上げるのは、今から約80年前にショパン・コンクールに日本人として初めて参加し、聴衆の圧倒的な支持を得たピアニスト・原智恵子さんの記事です。

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中原 光一(なかはら・こういち)

1972年生まれ、大阪府出身。98年入社。校閲だけでなく、高松総局で出稿記者を2年弱、大阪編集センターで紙面編集を約3年経験。また教育総合本部でも2年勤務。クラシックからアイドルまで音楽なら何でも大好物。