【解説】
 今年も半年が過ぎました。明るい話題では、将棋の藤井聡太四段の快進撃が、一、二を争う注目度だったように感じます。14歳2カ月で史上最年少プロ棋士となり、デビュー戦からの公式戦連勝記録を更新(11連勝)するにとどまらず、更に勝利を重ねました。その数29、デビューからに限らない連勝記録を30年ぶりに塗り替える金字塔。勝ち星が積み重なるたびに注目度も増し、朝日新聞も新記録達成時など、たびたび1面で報じました。

 その藤井四段のデビュー戦の相手は、加藤一二三(ひふみ)九段でした。一方が最年少なら、こちらは最年長の76歳(対局時)。60年以上もの長きにわたって戦い続けてきた元名人は、最年長勝利記録・通算対局数1位など数々の記録を持つ、いわば「レジェンド」。惜しまれながら先月引退しましたが、「ひふみん」の愛称で親しまれ、近年はテレビのバラエティー番組などでも活躍しています。

 この対戦は、単に年齢差だけでなく、新旧の最年少棋士記録保持者という点でも注目されました。藤井四段に抜かれるまで、14歳7カ月で棋士になった加藤元名人が記録保持者だったのです。学生棋士だった当時の加藤元名人を、朝日新聞はどう報じていたのでしょうか。

原文どおりに表記することを原則としますが、読みやすさの観点から

・漢字の旧字体は新字体に
・句点(。)を補った方がよいと思われる部分には1字分のスペース
・当時大文字の「ゃ」「ゅ」「っ」等の拗音(ようおん)、促音は小文字に

等の手を加えています。ご了承ください

広瀬 集(ひろせ・しゅう)

熊本県出身。就職氷河期世代。非正規の職を転々とした後、2006年にようやく入社。3年半の大阪本社勤務を経て、13年東京本社に復帰。ことばマガジン「昔の新聞点検隊」の言い出しっぺ。関心のある歴史ものやスポーツものを、同コーナーを中心に執筆中。