【解説】

 プロ野球選手による野球賭博事件や、著名なバドミントン選手が違法カジノ店に出入りし賭博をするなどした事件が、昨年から立て続けに発覚しました。賭博は法律で禁止されている犯罪ですが、古今東西を問わず、さまざまなきっかけから誘惑され、はまってしまう人は絶えないようです。今回紹介する記事は、大阪で小学生を含んだ「賭博団」が検挙されたという、1935(昭和10)年の記事です。

 さっそく記事を点検していきましょう。「賭博団」が検挙されたという大阪府泉南郡尾崎村は現在の同府阪南市(※)にあたります。場所を漁夫小屋としています。今なら漁師小屋などとする方が自然でしょう。

 「ジモ賭博開帳中」とありますが、ジモ賭博とはいったい何でしょうか。説明を入れてもらいましょう。当時はみんなが分かる一般的なことばだったのかも知れませんが、今では説明がないと分かりません。

 「ジモ賭博」が何をさすのか、突き止めることは出来ませんでしたが、可能性がありそうなのがクモを使った賭博。日本国語大辞典(小学館)によると「じも」は方言で「動物、じぐも(地蜘蛛)」を指し、長野、静岡、愛知の一部で使われていたとしています。

原文どおりに表記することを原則としますが、読みやすさの観点から

・漢字の旧字体は新字体に
・句点(。)を補った方がよいと思われる部分には1字分のスペース
・当時大文字の「ゃ」「ゅ」「っ」等の拗音(ようおん)、促音は小文字に

等の手を加えています。ご了承ください

菅野 尚(すがの・なおし)

東京都出身、バブル末期の1991年入社。大阪を中心に西日本を回る。釣りやダイビングに目覚め、魚の生態観察に癒やされる。最近はスポーツジムで泡風呂にひたり、その後はビールの泡におぼれる日々を送る。