【解説】


 5月15日は沖縄復帰の日。戦後27年間、米国の施政権下に置かれていた沖縄は、1971(昭和46)年6月17日、当時の佐藤栄作首相とリチャード・ニクソン米大統領が、「核抜き・本土並み」とする沖縄返還協定を調印し、翌年の5月15日に返還されました。

 今回は、72(昭和47)年5月15日の復帰当日の記事を取り上げます。まずは今の校閲記者の視点から点検してみましょう。

 前文にある「午後三時から抗議県民大会が開かれる」ですが、同じページに載った「全面返還を要求 革新が全国で統一行動」という記事では「午後三時すぎから沖縄県祖国復帰協議会主催の沖縄処分糾弾県民総決起大会が開かれる」。「午後三時」と「午後三時すぎ」、「抗議県民大会」と「沖縄処分糾弾県民総決起大会」。時間と大会名が微妙に違います。どちらが正しいのかすぐに確認出来ればいいのですが、確認出来なければ「午後三時」を「午後」、大会名は「抗議の集会」などとしてもらいましょう。ちなみに翌日の紙面では、時間は「午後三時半」、大会名は「『沖縄処分』抗議県民総決起大会」となっていました。

原文どおりに表記することを原則としますが、読みやすさの観点から

・漢字の旧字体は新字体に
・句点(。)を補った方がよいと思われる部分には1字分のスペース
・当時大文字の「ゃ」「ゅ」「っ」等の拗音(ようおん)、促音は小文字に

等の手を加えています。ご了承ください

上田 孝嗣(うえだ・たかつぐ)

1966年生まれ、福岡県出身。91年入社、東京本社校閲部、仙台、函館支局、東京本社地域面編集などを経て2012年から校閲センター。食と酒の美味探求とスキューバダイビング、旅好きなアラフィフ。共著に「パイプ大全」。