ハンディキャップがある人の協力で、誰にでも使いやすいものやサービスを設計する「インクルーシブデザイン(ID)」という考え方をご存じですか? ユーザーとして排除されがちな障害者や高齢者を商品の企画・設計に「巻き込み」、彼らの視点を借りるのが特徴で、英国が発祥です。日本では、米国発祥の「ユニバーサルデザイン(UD)」の方が聞いたことがある人が多いかもしれません。

 IDとUDは誰にでも使いやすいものを作るという目的は一緒です。ただ、UDは主に健常者が企画・設計するのに対し、IDは商品の企画段階から障害者に関わってもらうことで、商品を作り上げていくという違いがあります。

 まだまだ日本でなじみの薄いIDですが、この手法を商品開発などに役立ててもらおうと、コンサルタント会社「インクルーシブデザイン・ソリューションズ)」(IDS)が定期的にワークショップを開いています。これまでにメーカーの製品開発担当者らが学んだワークショップに、筆者も参加してみました。

加藤 順子(かとう・じゅんこ)

2003年に入社し、広島総局など西日本各地を転々としていたはずなのに、ふと気付いたら校閲センターにいた、ひよっこ校閲記者。守備範囲は2次元から3次元まで限りなく広く浅い。アイドルから歌舞伎まで年40本の公演をみる舞台ファン。