認知症のドライバーによる交通事故をいかに減らすか――。6月11日、運転免許を持つお年寄りに大きな影響をもたらす法改正がなされました。施行されると、いまより多くのお年寄りが医師の診断を受ける必要が出てきます。認知症と診断された場合、免許は停止か取り消しになります。制度の変更は危険な運転を減らす一方で、地域によっては生活の足に困るお年寄りを増やしそうです。


 警察庁の統計によると、免許を持つ75歳以上の人は昨年末で約447万人。いまの道路交通法では、75歳以上の人は3年に1度の免許更新時に「認知機能検査」を受けることになっています。2009年に導入された約30分の筆記テストで、記憶力と判断力を測ります。これらの力が低いと「1分類」、少し低ければ「2分類」、問題ないと「3分類」と判定されます。1分類の人が道路を逆走したり信号無視をしたりすると、医師の診断を受けなければなりません。

 法改正後は、より多くの人が診断を受けることになります。1分類と判定された人は、交通違反をしなくても対象となるからです。2014年に認知機能検査を受けた人は全国で約143万8千人。約5万3千人が「1分類」と判定され、1236人が医師の診断を受けました。新しい制度では、受診が必要な人は数万人に増えるとみられています。

■認知症が運転に与える影響

 認知症が運転に与える影響には、どのようなものがあるのでしょうか。その種類によって、あらわれる特徴には違いがあります。

森本 類(もりもと・るい)

1986年生まれ、東京都出身。2009年入社、東京本社校閲センター。大学ではクラシックギターのサークルに所属。「校閲のギャンブル担当」を自称するが、馬券の神には見放されている。好きな馬はグラスワンダー。