2020年東京五輪・パラリンピックにむけて、障害者をサポートするためのアプリやウェブサービスを開発するコンテスト 「ハッカソン」が、5~6日、東京都港区で開催されました。
 
 「ハッカソン」とは、世の中の課題に対し、技術でよりよい解決法を生み出す「ハック」と、「マラソン」を掛け合わせた造語。短時間に集中して新しいツールやコンテンツを生み出すイベントとして欧米で広まり、日本でも多数開催されています。

 参加者は、高校生や専門学校生、大学院生などの学生30人。3~4人ずつの8チームに分かれ、2日間で13時間以上をかけて開発します。ほとんどが個人での参加でした。初めて会ったメンバーが多いなかで話し合い、アイデアを出し合うことから、2日間の「マラソン」は始まります。

 開発に先立っては、ブラインドサッカー日本代表の落合啓士さんが講演。2日目には、マーケターとして幅広く活躍する車いすユーザー、花井譲さんの講演もありました。

■学生30人がアイデア出し合う

 視覚障害者と聴覚障害者がコミュニケーションを効率的にとる方法がないと考えたあるチームは、チャットで気軽にコミュニケーションをとれるアプリを制作しました。これまでも、触手話や読唇などの方法はありましたが、時間がかかり、不正確な面もあったそうです。

 「SinPaC(シンパシー)」と名付けたこのアプリでは、視覚障害者の人の発声を文字に変換し、聴覚障害者の人の打った文字を音声に変換して、やりとりができます。開発者の一人は「障害のためにコミュニケーションが限られることがないように」と開発への思いを語ります。

 そのほかにも、聴覚に障害のある人が発話練習を気軽にできるよう、発した音声や音量を目で見て確認できるアプリや、「触る指が1本だと、次の曲がり角までの距離や方向が読み上げられる」など、タップする指の数を変えることで簡単に操作ができる地図アプリ、インターネットを通じたビデオ通話によって、気軽に専門医に相談ができるサービスなど、多くのアイデアが生まれました。

青山 絵美(あおやま・えみ)

広島県出身。2011年に入社し、以来、東京本社校閲センター勤務。大学では、日本古典文学を学び、アメフット部で青春を燃やした。猫をこよなく愛するが、20歳を過ぎてアレルギーを発症。悲嘆の日々をおくる。