(1月9日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 1989年1月8日に始まった「平成」。平成と書かれたカレンダーもあと数カ月です。日本では西暦(グレゴリオ暦)と元号、旧暦を併記したカレンダーをよく見ますが、世界には実に様々な暦があります。

 京都府木津川市にあるコプト正教会。1月6日夜、エジプト人らのキリスト教信者が全国から集います。クリスマスのミサのためです。東京外国語大の三代川(みよかわ)寛子講師によると、エジプトに根ざしたコプト正教会では古代エジプト暦が起源のコプト暦を使っています。エジプトのカレンダーには、西暦やイスラム(ヒジュラ)暦、コプト暦も記されています。

 西暦は経済・金融の分野では、世界の標準暦と言えます。ただ、暦は信仰生活の基準でもあり、地域の慣習・文化とも密接な関係を維持しています。

 中国は公的には西暦ですが、伝統行事には旧暦が残ります。旧正月(春節)の盛大さはご存じの通り。今年は2月5日です。また中国のウイグル族などのイスラム教徒はイスラム暦を使い、イランではイラン暦(太陽暦)、タイは仏暦、インドは30種以上が共存しています。