(4月4日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 テレビのナレーションで、「~そう」という表現を聞いたことがありませんか。人から聞いた話を伝える時の言い方で、「~そうだ」「~そうです」とせずに「~そう」で言い終わります。言葉足らずな言い方だとずっと違和感がありました。

 「三省堂国語辞典」は最新版・第7版(2014年発行)で初めて項目を立てました。

 そう 「そうだ(助動)」の語幹。「花よめさんはうれし―・新作のロールケーキも人気だ―・効果がある―よ〔女〕」

 「説明と例文は私が書きました。『新作のロールケーキ』の例はわかりやすく、見つけたときは喜びました」。同辞典編集委員の飯間浩明さんはこう振り返ります。

 飯間さんによると、「今日は日曜日だ」→「今日は日曜日」(名詞)、「私は大丈夫だ」→「私は大丈夫」(形容動詞)、「まるで夢のようだ」→「まるで夢のよう」(助動詞「ようだ」)、「花嫁さんはうれしそうだ」→「花嫁さんはうれしそう」(助動詞「そうだ」の「様態」と呼ばれる用法)といった例をみてもわかるように、「だ」は省かれやすいのです。