「初めてづくし」と「初めてずくめ」、「異例づくし」と「異例ずくめ」――それぞれ正しいのはどちらか、迷ったことはありませんか。

 多くの国語辞書は「づくし」が「同類のものを全て列挙すること」、「ずくめ」が「そればかりであること」という意味を説明しています。しかし、どのような場合にどちらを使うのか、どのような違いがあるのかまでは触れていません。そこで、日本語学などが専門の先生から教えを受けました。

◇同じものや状況をどう見るか

 「初めて」と「異例」の2語について、どちらも「づくし」と「ずくめ」の両方が使える、と考える2人の先生の話を紹介しましょう。

 「初めて」について、城西国際大の原やす江教授はこう話します。「初めてのことが重なった時、その一つひとつを並べ立てることを話の中心にすれば『初めてづくし』。いろいろなことがあったが、それらは全て初めてのことだという点を話の中心にすれば『初めてずくめ』です」

 原さんによると、同じ状況や場面であっても、話す人がどこに注目するかで「づくし」か「ずくめ」かが決まるそうです。

 「異例」については、中央大の藤原浩史教授がこう話します。「ある期間の体験を語る場合、異例が多かったことを述べれば『異例づくし』。ある行事を述べる場合、その始まりから終わりまで異例ばかりであれば『異例ずくめ』です」

 「づくし」は同じものが並んでいる場合、「ずくめ」は捉えた枠内が同じものである場合に使う、と藤原さん。同じものが並ぶ点で共通していますが、違いは範囲を限定するかしないかだそうです。