(12月6日付朝刊に掲載した「ことばの広場」の拡大版です)

 2019年4月30日に天皇陛下が光格天皇以来、約200年ぶりに譲位し上皇になり、5月1日に皇太子さまが新天皇に即位することが決まりました。それにともない、新たな元号が施行されます。

 明治に天皇一代で一つの「元号」を用いる「一世一元制」が採用され明治、大正、昭和、平成と天皇の在位と対応した元号になりました。第2次世界大戦後に元号の廃止が議論されながらも、平成の現在に至るまで継続しています。

 明治以前は一代の天皇の在位中でも複数回の改元(元号を替えること)は普通のことであり、徳川家康により江戸幕府が開かれた1603(慶長8)年から1867(慶応3)年の徳川慶喜による大政奉還まで36の元号が使用されました。天皇の在位で言えば後陽成天皇から明治天皇までの16代に相当し、その平均期間は約7年です。

 日本で旧暦から太陽暦(グレゴリウス暦)に変更されたのは1873(明治6)年です。しかし、西暦が一般に普及したのはそれより遅く、たとえば朝日新聞で元号の日付に西暦が併記されたのは1947年のことです。

 西暦が普及する以前に、人々がどのように年月を数えていたのかを想像してみると不思議な気がしませんか。西暦を使用せず慶長8年は今から何年前なのか、数えるのは大変だと思います。