(8月2日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 「天使すぎるアイドル」「青春すぎる漫画」。一風変わった「○○すぎる」という表現を最近よく見かけます。2008年ごろ話題になった「美人すぎる市議」あたりからでしょうか。

 「物事がある数量や程度を越える」の意味がある「すぎる」は、動詞の連用形や形容詞・形容動詞の語幹などに付けて使われます。日本国語大辞典は「それ以上になる。まさる」「適当な度合(どあい)を越える」と意味を説明し、三省堂国語辞典第7版は俗用として「(ほめて)ひじょうに……だ」を載せています。

 「天使すぎる」と名詞につなげたり、「好きすぎる」とほめる際に用いたりするのには、違和感を持つ声も聞かれます。「遅すぎる」「目立ちすぎる」のように、本来は好ましくない状況に使う言葉との印象を持つ人が少なくないようです。

 また、「美人すぎる市議」のように容姿と関係がないのに職業名と結びつける使い方には、読者から「この職業の人たちは美しくあってはならないという前提がある表現と感じる」との意見もいただきました。