(7月5日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 「すべての選択肢はテーブルの上にある(All options are on the table.)」

 核やミサイルで挑発行為を繰り返す北朝鮮に向けて、米トランプ政権はこんな言葉を繰り返しています。

 米国では過去にも、中東情勢を巡ってブッシュ(子)、オバマ両政権が同じ表現を使っていました。日本でも、東京都の小池百合子知事が新党の代表就任を巡って「すべての選択肢がある」と発言していました。

 英語では「on the table」が重要な意味を持ちます。オックスフォード英語辞典によると、初出例は1646年。「考慮されている」「話し合われている」といった意味がある、としています。

 テーブルや机と直訳される「table」は、あえて例えるなら議会の机であり、「熟慮」といった比喩的な意味を帯びています。「on the table」と表現すると、「考慮中」「継続審議」「結論の先送り」といった広い意味が含まれます。