(6月14日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 日本生まれの初の元素である113番「ニホニウム」がこの春、理科の教科書の一部に載りました。昨年、その命名も話題になりましたが、ニホニウムと同時に名付けられた他の3元素のうち、米テネシー州から付いた「テネシン」と、ロシアの首都からとられた「モスコビウム」も地名が由来でした。

 国名から名付けられた元素はさほど多くないですが、地名が由来なのは20以上あります。

 「国名元素」としては、フランスが由来のフランシウムのほか、古代の国名やラテン語の国名を付けたものがあります。19世紀末に発見されたポロニウムは、ポーランド出身の化学者マリー・キュリーが故郷の独立運動を思い、ラテン語の国名「ポロニア」から命名しました。

 アメリシウムの由来も一見、アメリカ合衆国のようですが、アメリカ大陸です。周期表の一つ上にユウロピウムがあり、「欧州の次は米大陸」と連想ゲームのように命名されました。