(6月7日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 「編集」といえば、「資料をある方針・目的のもとに集め、書物・雑誌・新聞などの形に整えること」(広辞苑)。好みの映像や音楽の編集を楽しむ人も多いでしょう。でも最近、新しい用法も目につきませんか。

 朝日新聞では2015年の記事に「地域そのものを『編集』しようという思い」や「空間を編集する」が登場。街を歩けば「人生を編集する」手帳や、「地域の編集術」を特集する雑誌も。編集の対象は目に見えないものにどんどん広がり、とくにまちづくりや地域コミュニティー関連で増えているようです。

 前述の特集が組まれた雑誌「ソトコト」(木楽舎)5月号では、情報誌やウェブサイトの制作に加えて、地域のイベントや食堂の運営といった活動も紹介されています。これも「編集」なのでしょうか。同誌の指出(さしで)一正編集長に聞くと、「20、30代のスタッフから『編集』の実例として自然に挙がったもの。若い世代で、編集という言葉や行為が解放され、アップデートされている」といいます。