(12月7日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 いよいよ10日はノーベル賞の授賞式です。10月、大隅良典さんの受賞のニュースが掲載された在京の朝刊6紙を見比べました。朝日の賞の表記は「医学生理学賞」で、同じように医学を先にしていたのは3紙。2紙は「生理学・医学賞」と書き、生理学を先にしていました。

 1世紀前の朝日は「野口英世博士 ノーベル賞金受領候補者」としています。賞金額の大きさに注目が集まったのか、はじめはノーベル賞金と呼んだようです。野口自身も手紙の中で何度かそう書いています。

 昭和の初めに医学賞が見出しに登場し、戦後は医学生理学賞が多くなります。生物体の作用や機能を研究する生理学は、比較的新しいことばです。室町時代の国語辞書にも載っている先輩格の医学に先を譲った、ということでしょうか。