(9月28日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 「早急」の読み方は「さっきゅう」が正しいのに、「そうきゅう」と言う人が増えた、とのメールが何通か届きました。
 
 「早」を「さっ」と読むのはなぜでしょうか。日本語では、音読みの末尾が歴史的仮名遣いで「ふ」となる漢字が、tやkなどの音で始まる字の直前に来る時、つまる音になることが多いという法則があります。例えば、納(なふ)+得(とく)は「なっとく」となります。
 
 「早」は歴史的仮名遣いでは「さう」なので、本来ならこの法則は当てはまりません。NHK放送文化研究所の塩田雄大(たけひろ)主任研究員は「早の読みを『さふ』とする類推や誤解から、『さっ』の読みが広まったのではないか」と見ています。