(8月24日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 職場の歓送迎会や地域の会合など、人前で何か話をすることになった時、「お話しします」と言えば十分なのに「お話しさせていただきます」と、つい言ってしまいませんか。

 これは一例ですが、こうした「○○させていただく」表現について、多くのご意見をいただいています。「冗長で押しつけがましい」など、ほとんどが批判的なものです。

 国語辞典は、相手の許しを得て行う自分の動作を謙遜する時に使われる、としています。戦後、一般に広がったと説明しているものもあります。

 元来の使い方について、敬語に詳しい東京外国語大名誉教授の井上史雄さんは「業務上のやりとりなど一時的な場面で、自分と身分的な違いがない相手への敬意を表すのに用いられた表現だった」と言います。