(4月13日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 先月スペイン・バルセロナで元Jリーガー・石塚啓次さん経営のうどん店が、看板やネットで「UDON」の言葉を使えなくなり話題になりました。2003年に「UDON」を商標登録していた同国の会社から、商標権の侵害だとされたのです。

 商標名に認められた権利は強力です。普通名称と混用され、財産的価値や独占性が損なわれないよう、尊重されます。新聞社でも言い換えています。例えば「味の素」を「うまみ調味料」と書く場合などです。

 でも、なぜ「うどん」が商標名になるのでしょうか。弁理士で金沢工業大客員教授の栗原潔さんは「商標制度は属地主義で、その判断は国ごとに異なる。消費者に普通名称と認識されていなければ登録されてしまうこともある」と言います。

 つまり、「うどん」という言葉は日本では普通名称ですが、スペインではそうではないと商標権を管轄する役所が判断したわけです。