この時季、「卒業ソング」という言葉が話題に出る。「蛍の光」や「仰げば尊し」などの定番の「卒業曲」とは異なり、定義は難しいが、いわゆるJポップで卒業を題材とする、あるいは卒業をイメージさせる曲をさすようだ。世代によってそれぞれ思い入れのある曲があるだろうが、先日、知命の齢を迎えた筆者の場合、「贈る言葉」、「春なのに」を挙げたくなる。特に高校生時に聴いた「春なのに」は、柏原芳恵よりも、「やっぱり、みゆきはすげーな」との感想を持っていた。もっとも、作詞・作曲者の中島みゆき本人が歌うのを聴くと、まったく卒業ソングではなくなるような気がするが。

 前振りが長くなった。ここ数年、この時期に鉄道関係の拙稿をお読みいただいている。まさしく、「春なのに お別れですか」が続いたからである。

最後の夜汽車

 2012年「日本海」、2014年「あけぼの」、2015年「北斗星」と、伝統ある夜行列車が時刻表から姿を消していった。そしてまもなく、「カシオペア」と、鉄道ファンからは「絶滅危惧種」、「最後の砦(とりで)」ともいわれた夜行急行「はまなす」(札幌-青森)が消える。「はまなす」の運行開始は、昨年消えた「北斗星」と同じ青函トンネル開業の1988年3月13日。青函連絡船の深夜便を継承した。