御堂筋に四つ橋筋、堺筋に松屋町筋。
 これらは大阪市内を走る幹線道路に付けられた「ニックネーム」です。市内には、この4路線のように「筋(すじ)」と名の付く道路が多くあります。中でも、御堂筋は「日本の道100選」にも選ばれる、大阪を代表する幹線道路。最大8車線もありながらそのほぼ全区間が一方通行という思い切った交通規制は、全国的にも珍しいのではないでしょうか。
 大阪ではそのインパクトに影響されてか、一般名詞的に道路のことを「筋」と言うことがあります。大阪出身の筆者はこれが方言であることを知らず、道案内をしたときに通じず面食らった経験も。

 市民に愛着を持ってもらおうと、道路に愛称を付ける自治体は全国に数多くあります。大阪市も「市民に親しみやすい街」を目指して、運動をかねて進めてきました。1970年の大阪万博や1983年の大阪城築城400年といった節目に合わせて公募などを行い、現在では計47路線が愛称で呼ばれています。
 愛称は一風変わった原則のもとに決められました。一部例外はありますが、南北に走るものは「○○筋」、東西に延びるものは「××通(とおり)」と、道路の延びる方角によって愛称を使い分けるというものです。冒頭に挙げた四つの「筋」は原則の通り、すべて南北方向の道路。市によると、この原則は「豊臣秀吉の時代からの慣習にならった」といいます。