(9月9日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 全米オープンテニスの女子シングルスで、米国のセリーナ・ウィリアムズ選手のグランドスラム挑戦に注目が集まっています。今年の4大大会のうち全豪、全仏、ウィンブルドンを制しており、達成すればドイツのシュテフィ・グラフ選手以来27年ぶり4人目の快挙です。

 「グランドスラム(grand slam)」は、トランプゲームのコントラクトブリッジに語源があるとされます。13回の勝負に「すべて勝つ」と宣言し、実際に全勝することを指します。「総取り」を意味するスラムに「偉大な」のグランドがつき、達成困難な大勝利を指すようになり、さらにはスポーツの世界へと広がったのです。

 テニスでは1938年、男子シングルスでドン・バッジが4大大会を制覇した時、自ら「グランドスラム」と呼んだのが最初。1年間で達成することを年間グランドスラム、複数年で達成するのを生涯グランドスラムといいます。テニスでは4大大会自体をグランドスラムと呼んだりもします。大会によって特徴の違うコートで全勝するのは至難の業。男子で「年間」を達成したのはわずかに2人です。