(7月22日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 夏休みを迎え、帰省や旅行に鉄道を使う機会が増えることと思います。

 JRの在来線の車両には「サロ」「クハ」といった記号が書かれていることを知っていますか? このうちロやハは座席やサービスの水準を示します。かつては、イロハの順で付いていましたが、イは長い間使われていませんでした。それが、2013年、国鉄・JRとしては半世紀ぶりに復活しました。その豪華さが話題になったJR九州の寝台列車・ななつ星in九州の車両に付けられたのです。

 日本に鉄道が導入された明治前期、座席は上・中・下等でした。上等は要人などごく限られた人しか乗れず、庶民は下等を使いました。その後、「官設鉄道にては客車及び切符上等中等下等の名称を一等二等三等に改めたり」と1897年11月18日付東京朝日新聞が報じているように、1~3等に変更されました。これとは別に、1等から順にイ、ロ、ハの記号を便宜的に付けて管理するようになりました。