衆院選の選挙期間中で唯一の日曜日となった9日、各党の党首らは舌戦を繰り広げた。16日の投票日に向けて、批判の応酬も激しくなっている。
野田佳彦首相(民主党代表)は9日午後、長野県松本市内で演説し、こう訴えた。
「今日はテレビ討論に出てビックリした。民自公3党合意について、自民党の安倍晋三総裁は『○』か『×』か(札を)上げなかった」
この日の朝のフジテレビの番組では、「(デフレ下の)景気状況でも消費増税すべきか」という問いに各党首が○か×の札を上げたが、安倍氏だけ応じなかった。安倍氏は番組で「単純には言えない。デフレ傾向がさらに強まっていくようであれば(増税は)できない」と説明したが、首相はその場で「(自民党も含め)3党合意をしたのに、なんですか。選挙を前におびえているとしか思えない」と反発。松本市での演説でも「冗談じゃない。(増税は)先送りできない」と憤った。
一方、安倍氏は9日夕、東京都江東区での演説で「パワーアップした経済政策を実行し、デフレを脱却していく。まず金融政策、財政政策、さらには成長戦略だ」と強調。増税の前提となる経済対策に力を入れる姿勢を改めて示した。
安倍氏は「民主党は我が党の政策を批判しているが、そもそもこの3年間(デフレを)解決できなかった」と逆に民主党を批判。さらに、藤村修官房長官が北朝鮮のミサイル発射を容認するような発言をしたことに対して、「首相は今すぐ藤村氏を罷免(ひめん)しなければならない」と求めた。
中小政党からは、民自公の3党合意で進めた消費増税への批判が相次いだ。
共産党の志位和夫委員長はNHKの番組で「所得を増やし、内需を活発にする。(そのためには)消費税増税を中止する」と主張し、社民党の福島瑞穂党首は「賃金が下がり続けている中で増税すれば生活が壊れる」と指摘した。
新党日本の田中康夫代表は「消費税率の単体改悪が3党合意だった」と述べ、新党大地の鈴木宗男代表は「反消費増税、原発ゼロ、環太平洋経済連携協定(TPP)断固反対を強く訴える」。新党改革の舛添要一代表は「デフレ下で消費税を上げるのはダメだ」とクギを刺した。
こうした声に対し、公明党の山口那津男代表は「民自公は今後の課題も責任を持たないといけない。増税にあたって景気回復させる努力をする」と反論。そのうえで「低所得者対策を具体的に決めなければならない。軽減税率が大事だ」と述べ、理解を求めた。与党・国民新党の自見庄三郎代表も「安定財源が必要だと決断した」と説明した。
第三極からは、既成政党への批判も噴き出した。
みんなの党の渡辺喜美代表は江東区での演説で「自民党は先祖返り選挙をやっている。税金を自民党支持団体に重点的に配分する『ご恩返し政治』が始まる」と述べ、政権復帰を目指す自民党に矛先を向けた。
日本維新の会の石原慎太郎代表は武蔵野市での演説で「とにかく硬直した、役人に仕切られている政治を変えよう。日本の中央政治がいかに硬直しているか。自民党もダメだったけど、民主党はもっとダメだったね」と指摘。民自両党をなで切りにした。
日本未来の党代表の嘉田由紀子滋賀県知事は大津市での演説で「自民党、民主党、公明党は本気で原発をやめようと思っていないから先延ばししている。社民党や共産党はスローガンで『原発ゼロ』と言うだけで、見通しが立っていない」と述べ、脱原発を掲げる他党との違いを強調した。
衆院議員選挙公示 | 12/4(火) |
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期日前投票期間 | 12/5(水)〜15(土) |