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2012年12月8日03時00分

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専業主婦は厚遇ですか〈衆院選 答えを探す〉

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配偶者控除の廃止・第3号被保険者制度見直しへの賛否

 【山田優】衆議院解散9日前の国会。岡田克也副総理がつるし上げられていた。

 自民党の小泉進次郎氏が前回衆院選の民主党のマニフェストを「どう受け止めているのか」と追及。「書いてできなかった最大のものは配偶者控除の廃止。私は廃止論者なので、書いた以上はやるべきだと考えているが、党の中で一致に至らなかった。見通しが甘かった」と答えた。

 岡田氏が「最も反省した」配偶者控除の存廃。実は、長く、熱い議論が続いているテーマだ。

 「配偶者控除即時廃止は暴論だ」。今年6月、朝日新聞の「声」欄に一通の投書が載ると、さいたま市浦和区の女性(37)もすかさずメールで投稿した。

 専業主婦の存在意義に理解を

 そんな見出しで掲載された。「控除の廃止を急ぐのは出生率の低下を招くと思います」とつづっている。

 女性に会いに行った。

 2人の小学生の娘がいるお母さん。事務の仕事をしていたが、夫の転勤を機に専業主婦になった。

 娘の学校は田植えなどの課外授業があると、ボランティアで付き添える保護者を募る。来るのはいつも同じメンバーの主婦。「年々働くお母さんが増えて成り立たなくなっている」

 他にも家庭での介護など社会で担う役割がある、と自負する主婦は多い。「配偶者控除はその対価の意味もあるのでは」と女性も思う。「専業主婦が今の世の中に必要と理解してほしい」と投書を結んでいた。

 この投書の掲載から11日後。今度は神奈川県茅ケ崎市の看護師、三浦道代さん(40)の「声」が載った。

 配偶者控除廃止やむを得ない

 「保護者組織が専業主婦のサポートがないと成り立たないという主張は理解できません」とつづる。

 三浦さんにも会った。

 中学生と保育園児の娘、小学生の息子を育てるお母さん。3人とも認可保育所になかなか入れなかった。「保育園が見つからないときは本当に地獄でした」

 仕事でも苦労が続いたが、昨年も今年も小学校の保護者会の役員を引き受けている。「役員会の時間を働いている人に合わせれば引き受けられます。専業主婦だから、という問題ではないと思う」

 働くか、働かないか、個人が選ぶ時代になった。「配偶者控除で、主婦は優遇されていると思う。本当の弱者を控除すべきでは」と三浦さんは言う。

 女性の役割、家族の在り方、子育ての考え方……。議論は時に様々な思いを映し出し、複雑さを帯びる。

 3年前、民主は子ども手当の財源を確保するために配偶者控除を廃止する、と約束した。今回の民主のマニフェストからは「配偶者控除」をめぐる議論は消えた。他党の公約でも、前面に打ち出すことはない。

■社会保障「世帯単位が問題」

 配偶者控除を廃止するのか否か――。衆院選を前に各党に迫った団体がある。女性団体などでつくる「ジェンダー平等政策を求める会」だ。サラリーマンの妻が原則として年金保険料を負担しない「第3号被保険者制度」の見直しとあわせて各党に聞いている。

 結果は図のようになった。廃止や見直しに「賛成」と答えたのは社民党と共産党。民主党、日本未来の党は「どちらかといえば賛成」。民主党は「廃止」を掲げた前回からトーンダウンした。公明党と国民新党は「どちらかといえば反対」。自民党は「どちらともいえない」、日本維新の会は「地方が決める」と明確には答えなかった。みんなの党、新党改革、新党大地、新党日本は6日までに、アンケートの回答がなかったという。詳細は会のホームページ(http://p-wan.jp/site/)で見られる。

 事務局の一人、上野千鶴子・東大名誉教授に聞いた。「これらの制度で女性が対立するのは違っている。年金は払った人が受け取るのが原則。主婦が優遇されているのではなく『オヤジ優遇策』なんです」。恩恵を受けているのは、専業主婦を持つ夫と企業だという指摘だ。

 「そもそも社会保障が世帯単位で設定されていることが問題」と上野さんは指摘する。「ドメスティックバイオレンス(DV)などを考えても、社会保障は結婚しているかどうかにかかわらず、個人単位であるべきだ。無年金者や低所得者について、政治は別の対策を考える必要がある」

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