谷口将紀・東京大教授
混迷を極める政党再編、高まる政治不信。このような時だからこそ、各党・候補者の政策を見極めて投票したい。ポイントは三つある。
第一は政策位置だ。前回(2009年)衆院選の際、本欄は第1党をうかがう民主党と連立相手の国民新党、社民党との政策の開きを指摘した。今回は攻守所を変えて自民党が政権を取り戻す勢いだが、自民・公明・民主または自民・公明・維新どちらの組み合わせでも各党の位置には距離がある。自民は安保・外交や社会問題で保守色を強め、民主は消費税などの争点で前回から立場を大きく変えた。
第二は政策の優先順位。ある争点に関してX党とY党の政策位置が同じであっても、その優先順位が異なれば両党の政策には差が生じる。候補者が最も重視する政策を見ると、経済政策に重きを置く自民、政治・行政機構にも焦点を当てる維新・みんな、原発・震災復興に主眼を据える未来・公明・共産・社民、特定分野に絞り込まない民主など、各党の戦略は様々だ。
第三は政策実現能力に対する評価だ。A党とB党がともにクリーンな政治の実現を最優先課題に掲げても、過去にスキャンダル続出のA党とそうでないB党とでは信頼度が異なる。各党の公約には、憲法改正、脱(卒)原発、消費増税中止など威勢のよい言葉が並ぶ。実現能力を吟味することの大切さを、私たちはこの3年余で学んだ。
書きたいことを書けばよい公約や公報とは異なり、多くの争点態度をいろいろな角度から問う本調査は、候補者には答えづらい面もあっただろう。それでも9割を超える回答が寄せられた事実は、政治家が自らの主張を有権者に理解してもらい、政策を実行する意欲の表れと捉えたい。本調査報道を「第二の選挙公報」としてご活用いただきたい。
衆院議員選挙公示 | 12/4(火) |
---|---|
衆院議員選挙投開票 | 12/16(日) |
期日前投票期間 | 12/5(水)〜15(土) |