「大阪での改革だけでこれだけ議席を獲得できた。全国で同じような活動をして地域政党を立ち上げれば国政はがらっと変わる」
16日夜、大阪市内で記者会見した日本維新の会の橋下徹代表代行は言った。
維新地元・大阪の小選挙区や各ブロックの比例区で議席を伸ばし、公示前の11議席から50議席以上に勢力を拡大。大阪の小選挙区では12人が当選した。
「過半数獲得」の目標を達成できなかったことは、「有権者の支持を集めるのは僕の役割。しっかり全国に(主張を)届けられなかったのは力不足だった」。
大阪8区では、橋下氏と高校の同級生で維新新顔の木下智彦氏(43)が自民元職らに競り勝ち、初当選。17日午前0時半ごろ、橋下氏が大阪府豊中市内の事務所を訪れ、「おめでとう」と初当選を祝った。
一方、大阪以外の小選挙区では相次いで落選が決まった。熊本1区。維新の「九州の顔」ともいえる前職の松野頼久氏(52)が自民元職に議席を奪われ、「原点に戻ってもう一度頑張ります」と頭を下げた。
鳩山内閣で官房副長官を務めたが、消費増税を「公約破り」と批判し、9月の維新結党に参加。過去4回の選挙を支えてきた連合熊本の支援を失い、第三極への風は吹かなかった。
京都1区でも維新新顔の田坂幾太氏(60)が落選。「私の不徳のいたすところです」と反省の弁を述べた。自民京都府連の幹事長も歴任したベテラン府議で、今年10月、京都維新の会を設立。出馬表明は公示10日前で、準備不足が響いた。
比例東京ブロックでは維新代表の元職、石原慎太郎氏(80)が当選。17年ぶりの国政復帰を決めた。10月下旬、東京都知事を辞職。比例単独候補として臨んだ今回、「憲法9条があるからこそ、多くの同胞がさらわれて殺されても抗議して取り返すことができない」などと発言して物議を醸した。
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日本維新の会の母体となった大阪維新の会は昨年11月の大阪府知事・市長のダブル選で圧勝。勢いに乗り、大阪市政の改革になたを振るい、「台風の目」として注目が集まった。
今年9月に衆院選に候補者を立てると機関決定。橋下氏は「大阪の改革を成し遂げ、地方の自立と改革につなげていくことが我々の使命」と高揚感を隠さず、「過半数」の獲得を目標に掲げていた。
しかし、最終的な公認は選挙区、比例区合わせて172人。石原氏が立ち上げた太陽の党と合流すると、石原氏と橋下氏側との間で「脱原発」をめぐる主張の食い違いが表面化。既得権益に切り込む当初の維新の改革イメージが薄れていった。
選挙戦を支えた維新の大阪市議はこう漏らす。「石原さんの演説内容は完全にタカ派。旧太陽系の候補のところに応援に入ると、すごい違和感を感じる。太陽との合併は失敗だった」
石原氏との合流をどうみるか――。橋下氏は強気を崩さなかった。「僕らは若さとエネルギーがあるが、石原代表の知識、経験が政治に必要だ」
石原氏は、東京都内で取材に応じた。今後の党運営について、石原氏は「原発もちゃんと修正しましたし、基本的な合意も得てますし、それはご心配なし」と不安を打ち消した。
民主と並ぶ勢力を持つ国政政党となった日本維新の会。来夏の参院選に向けた橋下氏の去就に注目が集まる。橋下氏は言った。
「(法律を変え)市長と兼ねられるようになれば、松井知事と一緒に挑戦することも考えていきたい」
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