【宮沢崇志】今回の衆院選で各党の主張が似ている。政策の内容ではない。掲げるキャッチフレーズの表現が似ているのだ。短いひとことに「、(読点)」と「。(句点)」をつけるスタイル。主要各党の「キャッチフレーズを、比べてみる。」。
民主党は「動かすのは、決断。」を掲げる。党の新聞広告にも野田佳彦首相の写真と組み合わせ、大きな文字で使われている。
「。」をつけるスタイルは2009年の衆院選でも使った。マニフェストの表紙には「政権交代。」。他党の党名にもなった「国民の生活が第一。」も民主党のロゴの上に組み合わせていた。
今回のフレーズは「決断する政治」にこだわる野田首相の肝いり。民主党広報委員会の担当者は「専門家の意見も取り入れて決めた。力強さを出す。決意をいかに伝えるか。文字にしたときのデザイン的な観点も考慮している」と話す。
自民党は「日本を、取り戻す。」だ。安倍晋三総裁が選出された総裁選のキャンペーンコピーをそのまま使っている。担当者は「総裁選が盛り上がったので。『。』をつけることで引き締まったイメージになる。『、』は前後の言葉を強調できる」と話す。
09年衆院選でも、党名のロゴの上に「日本を守る、責任力。」というひとことをデザインしていた。担当者は「このところ、ずっとこのスタイル」という。
共産党も「提案し、行動する。」を掲げる。09年は「『国民が主人公』の新しい日本を」だった。第三極はどうか。日本維新の会のHPでは、橋下徹代表代行の写真と組み合わせ「今こそ、維新を。」の文字が躍る。党名のロゴには「日本再生、未来への責任。」を組み合わせる。日本未来の党は「だれもが希望をもてる未来を。」、みんなの党は「闘う改革。」のひとことを、いずれも党名と並べて配置している。
必要ないともいえる「、」や「。」をつける手法は、広告の世界では定着した手法だ。1980年代の「不思議、大好き。」「おいしい生活。」などが有名。90年代にはアイドルグループ「モーニング娘。」の例も話題になった。
流行語に詳しい梅花女子大の米川明彦教授(日本語学)は「同様の表現がありふれているので、各党はそれにならっただけではないか。完結やまとまりを表現したいという意図があるのかもしれないが、『。』で閉じるとかえって広がりを失うようにも感じる」と話している。
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