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(公約を問う)参院選、きょう投開票

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主な争点と各政党の立場

 21日に投開票される参院選では、今後の国やくらしのあり方に影響を与える争点がたくさんある。何を基準にして投票先を決めればいいのだろうか。「公約を問う」では、政策ごとに各党の立場や選挙後の見通しを示してきた。改めて主な争点を紹介する。

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■憲法 焦点は96条の改正

 【池尻和生】参院選の結果次第で、戦後初めて現実味を帯びてくるのが憲法改正だ。

 その最大の焦点が96条の改正だ。自民党と日本維新の会は、衆参双方で「3分の2以上」の賛成が必要と定める改憲の発議要件を「過半数」に緩和することを公約に明記した。安倍晋三首相は「憲法は国会議員が発議するだけで、決めるのは国民だ」と主張。両党は、発議のハードルを下げて、最後は改憲の是非について国民投票の判断にゆだねるべきだ、との考えだ。

 狙いはどこか。自民は昨年発表した憲法の改正草案で「自衛権の明記」「国防軍の設置」などを盛り込んだ。発議要件の緩和の先には9条の改正を視野に入れる。一方、維新は自衛権の確立など自民と9条改正の考えは近いものの、改憲の目的には首相公選制や道州制などの導入といった統治機構改革を前面に掲げ、違いをアピールする。

 自民と連立政権を組む公明党は、環境権などを新たに加える「加憲」が持論だ。ただ、96条改正については公約で「改正の内容とともに議論するのがふさわしい」とあいまいな表現になっている。みんなの党は発議要件の緩和には前向きだが、官僚制度や地方主権の改革などを挙げ、「改憲の前にやるべきことがある」と強調。自民、維新との違いをみせる。

 党内に改憲・護憲派が混在する民主党は、96条の先行改正については反対でまとまった。共産、生活、社民の各党、みどりの風、新党大地はいずれも96条の堅持を掲げている。

■アベノミクス 緩和推進か副作用配慮か

 【山本知弘】安倍政権の経済政策「アベノミクス」を進めるのか、ブレーキをかけるのか。参院選の大きな争点だ。

 (1)金融緩和、(2)財政出動、(3)成長戦略というアベノミクスの「3本の矢」のうち、1本目と2本目の矢はすでに放たれた。日本銀行が市場にお金(円)を大量に流し込んだことで円安・株高になり、生産や消費も上向いた。

 半面、円安で輸入品の値段が上がったり、燃料や電気代も高くなったりしている。株式市場にお金が移ったことで国債価格が下落(金利は上昇)し、住宅ローン金利も上がるなどの「副作用」も出てきた。

 自民、公明の与党はアベノミクスを進めて景気を回復させると訴え、民主党、共産党など多くの野党は副作用を批判する。アベノミクスと方向性は同じだが、「安倍政権の成長戦略は不十分」と訴えたのは、日本維新の会とみんなの党だ。

 与党が議席を伸ばせば、企業の設備投資を促すための法人減税、大都市の経済を活発にするための規制緩和などの成長戦略が進む。雇用では、働き手を雇い続ける会社を支援する「雇用維持型」から、転職や退職を促す「労働移動型」に軸足を移すための規制緩和の議論も本格化する。

 「解雇(しにくい)規制の緩和」を公約するなど与党以上に前向きな維新やみんなが議席を伸ばせば、この流れに拍車がかかる。一方、民主や共産などが議席を確保すれば、雇用の規制緩和に待ったがかかる可能性がある。

■税と社会保障 国民の負担増見えぬまま

 【野沢哲也、五郎丸健一】昨年8月、民主、自民、公明3党の合意で消費増税法が成立した。消費税率は来年4月に8%、2015年10月に10%に上がる予定だ。ただ、増税法では「経済状況の好転」が増税の条件になっている。このため、安倍政権は景気を見極めたうえで、秋に増税するかどうかを最終判断する。

 参院選では、3党と、「消費税を地方税に」と主張する日本維新の会が「増税容認」だ。一方、みんなの党、共産党など多くの野党が「増税は景気を冷やす」などとして「増税反対・凍結」を訴える。

 安倍首相は参院選で「経済が腰折れし、税収が増えなければ元も子もない」と述べ、増税するかどうかの態度を示さなかった。国民に「負担増」を求める議論を先送りし、8〜9月に発表される「4〜6月の経済成長率」などの経済指標をみて判断する。

 一方、消費増税の目的とされる社会保障のたて直しは、議論が進んでいない。高齢化によって政府の社会保障予算は自然に毎年1兆円ほどふくらむため、医療や年金などの抑制は避けられない。だが、与野党とも国民に「受益減」などを求める具体策を示さなかった。

 自民の公約は、政府の社会保障国民会議の議論を踏まえて「社会保障制度について必要な見直しを行う」とするだけ。会議では、医療・介護を中心に一定の所得がある高齢者の自己負担を増やすことなどが話し合われている。野党の多くは「充実」を訴えたが、財源は示していない。

■エネルギー 自民、原発推進に力点

 【江渕崇】参院選は、原発依存に戻るか、脱原発を進めるかの分かれ道になる。

 国内の原発50基は東京電力福島第一原発事故後にいったんすべて止まり、今は関西電力大飯原発(福井県)の2基が動くだけだ。だが、今月8日に原発の新しい規制基準がスタートし、原発をめぐる環境は新たな段階に入った。北海道、関西、四国、九州の4電力が計6原発12基を再稼働させるための審査を原子力規制委員会に申請している。

 自民党は原発再稼働を進める方針を鮮明にした。規制委が認めた原発の再稼働は「地元自治体の理解が得られるよう最大限努力する」と積極姿勢をみせる。

 安倍政権は、民主党政権の「2030年代に原発稼働ゼロ」という目標をやめ、成長戦略に「原発の活用」を掲げた。参院選で勝てば、原発推進を加速させるとみられる。

 一方、ほかの党は脱原発や脱原発依存を打ち出した。与党の公明党は「可能な限り速やかに原発ゼロを目指す」という。参院選後にどこまで主張を貫けるかは議席数が影響しそうだ。

 むしろ公明と立場が近いのは、「30年代の原発稼働ゼロ」を掲げる民主党や「原発は30年代までにフェードアウト(徐々にやめる)」という日本維新の会。3党は原発再稼働を否定していない点も似ている。

 みんなの党は「30年までに原発ゼロ」と踏み込み、再稼働も否定的だ。共産党、生活の党、社民党、みどりの風は再稼働を認めず、速やかな脱原発を訴える。新党大地も「原発ゼロ」を掲げている。

■TPP 「聖域」守れるか難題

 【コタキナバル=藤田知也】マレーシアのコタキナバルでは15〜25日、輸入品にかかる関税の撤廃などを目指す環太平洋経済連携協定(TPP)の18回目の交渉会合が開かれている。安倍政権は3月にTPP交渉への参加を決め、日本は手続きが終わる23日午後から交渉に加わる。参院選では、TPPが経済やくらしを豊かにするのかどうかも見極めなければならない。

 自民、公明、民主の3党はおおむね、コメ、麦、牛肉・豚肉など一部の農産物を、関税を守る「聖域」として交渉を進めていこうという姿勢だ。日本維新の会とみんなの党は貿易や投資を増やすためにTPPに入るべきだと主張する。一方、ほかの野党は「自国の農業を壊す」(共産党)などとして断固反対だ。

 日本には厳しい交渉が待ち受ける。コタキナバルでは20日、TPPに関係する企業や団体の会合が開かれ、米自動車大手フォードが「円安で日本メーカーは稼いでいる。日本市場は先進国で最も閉鎖的で、日本のTPP参加には反対だ」と、日本を名指しで批判した。米自動車業界は日本車への関税がなくなるのを警戒する。オバマ政権に影響力もあり、米国が日本に厳しい要求を突きつけるのは確実だ。

 参加国は年内の最終合意を目指す。あとから参加した日本がすでに合意した内容に反対するのは認めない姿勢だ。残り少ない時間で、農産物の関税を守ったり、ほかの国に自動車などの関税をなくすよう求めたりするのは簡単ではない。

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