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(良識の府どこへ)落選組くら替えの府 任期全うせず衆院転身も

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夜の駅前で、通行人と握手をする参院選の立候補予定者(左)=千葉市美浜区、小玉重隆撮影

 「もう原発は許しません」。29日、千葉県市原市の駅前で生活の党の太田和美氏(33)が訴えた。

 2006年の衆院千葉7区補選に民主党で初当選し、09年の衆院福島2区で再選したが、日本未来の党に移って臨んだ昨年12月の衆院福島2区で落選。故郷の千葉で今度は参院選に挑む。

 「候補者がいなくて困っている」。5月、生活の党幹部から転身を打診された。参院議員は識見を持つ人がなるべきだと考え、衆院に落ちたから参院というのも嫌だった。

 だが、選挙区には原発再稼働に前向きな自民が2人を擁立。福島の後援会からも「福島の現状を訴えて」と後押しされ、「目の前の機会を生かす」と1カ月後に決断した。

 演説に立ち止まる人はまばらだ。通りがかった男性(65)は「衆院選で落ちたから参院、では一貫性がない。前の選挙区での約束はどうなる」と話した。

 今回の参院選には、昨年の衆院選で落選した前衆院議員25人が立候補を予定する。民主の鹿野道彦氏、生活の山岡賢次氏ら元閣僚のほか、日本維新の会、みんなの党、みどりの風、新党大地の「失業議員」の受け皿に参院がなっている。

 参院議員を投げ捨て、衆院議員をめざす動きも絶えない。昨年の衆院選では11人いた。

 その1人が、07年参院選岡山選挙区に民主党から立候補し、4選を狙った片山虎之助氏を破った姫井由美子氏(54)。参院議員時代、コンビニ本部から弁当の値引き販売を禁じられてオーナーが自殺した問題を知り、コンビニ加盟店オーナーの権利を保障する「フランチャイズ法」制定に取り組んだ。

 党が消費増税を掲げたのに反発し、師事する小沢一郎・元民主党代表に従って離党したのが昨年7月。小沢氏側の意向で衆院千葉8区に転身して未来から出たが、落選した。法案は、議員連盟の事務局長時代に中間報告をまとめたが、落選で動きは止まった。

 「消費増税反対に大義があった」と姫井氏は語るが、あるコンビニオーナーは嘆く。「途中で現職でなくなったのは残念。議連も開かれなくなってしまった」

 参院、衆院、参院とくら替えし、昨年の衆院選で衆院に戻ってきた日本維新の会の藤井孝男元運輸相(70)は「常に目指してきたのは衆院だった」と明かす。主要閣僚の多くは衆院議員から選ばれ、衆院には予算議決や条約承認の優越もある。

 半面、参院で結果を残した議員はいる。西川きよし氏(66)は1986年から3期務め、医療や介護について相談できる高齢者総合相談センター(シルバー110番)の番号全国統一など福祉政策を進めた。

 秘書を務めた小川寿士・さいたま市議(49)は、有権者から届いた手紙を持って省庁に直談判する西川氏に何度も同行した。「参院でしかできないことがある」が口癖だった。4年半にわたって委員会で働きかけ、法改正につなげた例もあった。

 3期務め、ドメスティック・バイオレンス(配偶者間の暴力)防止法改正などに取り組んだ小野清子氏(77)は「常に選挙を意識する衆院と異なり、調査研究の時間的余裕がある」と語る。47年の第1回参院選で当選した作家の山本有三は、祝日法や文化財保護法の制定に力を尽くした。

 「日本の政界はアリ地獄。一度落ちるとなかなか政治家以外の仕事ができないから、議員であり続けたいという世界になっている」。細川内閣で首相秘書官を務めた駿河台大学の成田憲彦教授(日本政治論)は指摘する。「参院で必要な人材について議論を深めるべきだろう」

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 参院不要論もあるなかで、参院選ではその存在も問われる。「良識の府」はどこへ向かうのか。

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