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参院への伝言 引退を前に3議員語る

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インタビューに答える川口順子元外相=16日、山本和生撮影

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政界を引退する平田健二参院議長=9日、東京・永田町、河合博司撮影

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政界を引退する木庭健太郎参院議員=9日、東京・永田町、河合博司撮影

 ねじれ国会で与野党対立の主戦場となった参院は、「決められない政治」の弊害も指摘された。一院制の議論もくすぶるなか、どう改革すべきなのか。引退する3人の参院議員に処方箋(せん)を聞いた。

■意思決定にスピード感を 川口順子元外相(72)=自民党・比例(当選2回)

 【聞き手・大津智義】グローバル化の時代に、企業の意思決定は早ければ早い方がいい。日本の国会も同じだ。政府が矢継ぎ早に法律を出しても円滑に通っていかなければ日本は変わらない。国会のあり方も意思決定の迅速性に重きを置くべきだと思っている。

 国会の議事録を読み比べてもらうとわかるが、非常にレベルの高い質問は参院で出ている。決して議員の質が悪いとは思っていない。ただ、衆参で機能が同じでよいのか、ということは考えなければならない。

 参院では党議拘束を外し、個人の意見で投票できる範囲を広げるところから始めてはどうか。参院が重視する決算を次の予算にすぐに反映できるスピード感も必要になってくる。

 (平日の国会対応のため)大臣が金曜夜に海外出張に出発し、月曜日には国会に出席するような制約はやめるべきだ。外相時代、頻繁に電話協議をして補ったが、実際に会議に顔を出して発言して存在感を見せないと、言いたいことが通らない。

 中国の温家宝首相(当時)との会談を土曜日に入れるため、先方に予定を変えさせたこともあった。外交上、失礼な話だった。

■衆参の役割、再考の時期に 平田健二参院議長(69)=民主党・岐阜(当選3回)

 【聞き手・斉藤太郎】衆参のねじれが盛んに批判されてきたが、ねじれは国民が選択した結果だ。衆院だけで法案を通すより、参院のフィルターにかける方がよい。ただ、国会のあり方を根本的に考え直す時期には来ている。

 参院の「一票の格差」を抜本的に縮めるには全国かブロックごとの比例代表制に改めるしかない。参院は多党化して単独過半数を持つ政党はなくなる。一般の法案や予算案、首相指名権は衆院、条約は参院という仕分けもあり得る。参院が法案審議を衆院にやり直させる「拒否権」を発動できる仕組みを考えてもよい。

 黒衣役がいないのも問題。私は労働組合の出身で、政策より組織固めに力を注いできた。でも民主党にそういう人材が育っていない。政党間のパイプが失われ、通常国会の最終盤に首相問責決議案が出て、私への議長不信任案が採決され、電気事業法改正案などが廃案になった。

 民主党は信を失った。別の政党にでもならなければ信頼は回復できないかもしれない。ただ、こぞって新党をつくっても、同じことの繰り返し。政策や考えの似た人たちがきちんと核にならないといけない。

■多様性生む選挙改革必要 木庭健太郎・党参院幹事長(61)=公明・比例(当選4回)

 【聞き手・星野典久】参院は定数是正を続ける中で1人区が増えて、衆院の小選挙区みたいになってしまった。風の影響を受けやすくなり、選挙のたびにガラッと勢力が変わることが衆院より先に起きる。参院選が政局の引き金になるようになってしまった。

 穏やかな形で物事が進むような参院になって、衆院で劇的なことがあれば行き過ぎを是正するのが本来のあり方だ。だが、今のままの選挙制度では実現は難しい。色々な方々の意見が反映できるように選挙制度改革に取り組む必要がある。

 参院はほとんど衆院と同じ権利を与えられている。この点は色んな考え方があっていい。法律も国会同意人事も同等みたいなところはメスを入れていく必要があるかもしれない。内閣へのチェック機能を果たすため、参院からは大臣を出さないというやり方もある。

 自民、公明両党の連立は崩してはいけない。どっかに行きそうな自民党に苦言を呈する公明党の役割は大きくなる。武力行使を目的に自衛隊を海外に行かせることは絶対にダメだ。集団的自衛権(の行使容認)もダメ。ここだけは自民党としっかりと話をしてもらいたい。

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