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首相、沖縄入り 狙い二つ 辺野古移設へ決意・中国を牽制

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安倍政権と沖縄

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参院選の自民党候補応援のため沖縄入りし、公設市場で有権者とふれあう安倍晋三首相=16日午後、那覇市、越田省吾撮影

 安倍晋三首相が16日、自民党が参院選の最重点区とする沖縄を訪れた。参院選後を見据え、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向けた安倍政権の意思を明確に示すとともに、尖閣問題を抱える石垣島を訪問し、中国を牽制(けんせい)するのが狙いだ。

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■「県内」既成事実化めざす

 沖縄県内4カ所の演説で、首相がもっとも訴えたのは沖縄振興策だった。「沖縄の有効求人倍率はバブル期以来の数字になった。もっともっと高くしていきたい」と訴え、「那覇空港はハブ空港にする。第2滑走路は予算をつけた」と強調した。

 ただ、首相の狙いは普天間問題。移設先については「辺野古」という地名こそ明言しなかったが、日米で合意した県内移設への決意は鮮明だった。政権幹部は「首相が沖縄に入るということは、日米で約束したことをしっかり進めていくということだ」と言い切る。

 普天間問題では、党公認候補も党県連も県外移設を主張し、党本部とねじれ状態だ。ただ、政権は、参院選公約に「辺野古移設」を明記した党の総裁である首相が沖縄選挙区にテコ入れすれば、県内移設は既成事実化できると踏んでいる。

 激戦とされる沖縄選挙区で勝てば、年内にも仲井真弘多(ひろかず)知事が判断する辺野古埋め立ての可否に影響するという皮算用も働く。首相周辺は「普天間はもう争点じゃない。県内移設に反対する野党は代替案を出せていない。首相もそう思っている」と強調する。

 首相のもう一つの狙いが石垣市の尖閣諸島だ。17日、首相は石垣島と宮古島を相次いで訪問する。尖閣諸島周辺を警備する石垣海上保安部を訪れ、巡視船の乗組員らを激励する。尖閣問題で対立する中国が領空・領海侵犯を繰り返す中、首相は以前から「石垣に行って海保隊員を激励したい」と周囲に漏らしていた。

 だが、首相の石垣訪問の効果はそれだけではない。外務省幹部は「日本の首相が石垣島に行って海保を激励すれば、中国へのメッセージになる」と指摘。安倍政権として、選挙後も尖閣をめぐる日本の方針に変化はないことを示す効果も期待できるというわけだ。

 首相側近は強気だ。

 「安倍政権が3年は続くとなったとき、中国は長期的な視点で接してこざるを得ないだろう」

■県連は反発懸念

 沖縄をテコ入れした首相の思惑通りに普天間移設は進むのか。16日、那覇市の沖縄県庁前の演説には約2千人が集まった。自民候補に支援を求める首相を見ながら、党県連の翁長政俊会長は「これは賭けだ。丁と出るか、半と出るか。結果を見ないと分からない」と漏らした。

 そもそも県連は首相の沖縄入りに乗り気でなかった。反発も生み出す「劇薬」と考えたからだ。首相来県の調整役だった自民党の竹下亘衆院議員に対し、再考を促していた。

 理由は普天間の移設先をめぐる政権と県連のねじれだ。県連幹部は「首相が来れば、県民は『辺野古移設』への意思を感じるだろう。押しつけへの反発が生まれかねない」と懸念する。自民候補の選挙対策本部長を務める仲井真知事も「首相が入るのはプラスになるか、マイナスか」と首をひねっていたという。

 首相来県をきっかけに、自民候補と激しい戦いを繰り広げる現職の対立候補は攻撃の矛先を首相に向けた。首相の演説とほぼ同じ時刻に、約300メートル離れた市中心部の交差点でこう批判した。

 「安倍首相は公約がまったく違う候補をどう応援しているのか、不思議だ」

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