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衆院選、低投票率の2市を歩く 「変わらない」「生活切迫してない」

写真・図版

参院選への投票を呼びかけるため、ホームセンターを訪れた買い物客にティッシュなどを配る高校生=千葉県八街市、小玉重隆撮影

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千葉県八街市と埼玉県八潮市の地図

 【仲村和代】国政選挙の投票率は下がり、昨年末の衆院選の投票率は戦後最低の59・32%だった。参院選の投票日まで、あと5日。投票に行かないのは、なぜなのか。投票率が伸び悩む街を歩いた。

■千葉・八街

 落花生の産地として知られる千葉県八街(やちまた)市。昨年衆院選の投票率は50・96%と首都圏で最低だった。

 3連休初日の13日。市の選挙管理委員会は、投票を呼びかけるティッシュを大型商業施設で配ったが、受け取らない人も目立つ。

 「昔は投票に行ってたけど」というのは、横田節子さん(66)。25年ほど前、都内から移り住んだ。人口は1・5倍に増えたが、市内の道路は整備されず、渋滞ばかり。政治家は暮らしを良くすると言っても変わらず、「自分たちの声は届かない」という無力感で選挙から足が遠のいた。

 だが、町が発展しないまま、増税されるのは納得がいかない。夫(69)は「入れたからって何してくれる」と言うが、「行かなきゃ変わんない」とも思い始めている。

 八街は明治期に開拓され、各地から人が集まった歴史はある。ただ、低投票率の理由については「よく分からない。風土と言えばそれまでですが」と市選管の担当者は言う。一番低かったのは農家の多い地区で、44・43%。地区役員の男性(61)は「地元の人が出なければ、投票を呼びかけることもない」という。

 地元育ちの契約社員の男性(30)も投票にあまり行かない。

 日本航空の子会社で正社員として働いていたが、経営悪化で配置転換となり、辞めた。今の職場に来て約1年半。まだ正社員にはなれない。テレビが参院選を採り上げていれば、何となく見てはいる。

 「でも、雇用は会社の問題という気がして、政治と結びつかない。怒りはない。どうせ変わんないし」

■埼玉・八潮

 同じ衆院選で、市区町村単位では埼玉県内最低の52・15%だった八潮市。隣は東京都足立区で、2005年につくばエクスプレスが開通。都心まで約20分となり、八潮駅周辺に新しいマンションが次々に建つ。

 ショッピングセンターにいた主婦田口裕子さん(37)は若い頃に1度、投票したきりだ。「子ども2人を連れて行くのも大変。何かが変わるとも思えない。そこまで生活が切迫していないのも事実」

 政治不信が拍車をかける面もある。

 「政治家は責任を取らない。いっそ官僚に任せた方が無駄がなくていい」。駅前でバスを待っていた男性(38)は憤りを隠さない。

 以前は投票を欠かさず、09年の衆院選は政権交代に期待して投票。だが、その後の混乱に失望し、昨年の衆院選は棄権した。

 不況で正社員の職を失い、3年前から派遣社員として働く。1年半前、物価の安さにひかれて都内から移り住んだが、アベノミクスでじわりと物価が上がる。消費税より生活水準を上げるのが先と切に思う。

 21日に投票するか、まだ迷っている。「自分の意見が反映される実感があれば」

     ◇

■投票機会生かして

 〈山田真裕・関西学院大教授(政治過程論)の話〉多くの人は、自分の1票で結果が変わるという実感が持てないのかもしれない。でも、自公政権が衆参のねじれを解消すれば、重要な政策がどんどん動き出し、憲法改正をめぐる議論も本格化するだろう。ひとごとと思っていても、その結果は自分の将来を左右する。入れたい候補者がいなければ、白票という意思表示もできる。政治に関わる貴重な機会を生かしてほしい。

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