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選手が対談で振り返るあの一戦 常総学院×日本航空石川(前編)

2024年4月22日20時00分

朝日新聞DIGITAL

 ■After Game Talk

 あのとき、何を思い、試合に臨んでいたのか。時を経て対戦相手同士で語らう「After Game Talk」。第1回は、今春の選抜大会1回戦で対戦した日本航空石川の主将・宝田(ほうだ)一慧(いっけい)外野手、副将・北岡颯之介遊撃手、常総学院(茨城)の主将・若林佑真遊撃手、小林芯汰投手をオンラインでつなぎ、試合を振り返ってもらった。

■「スライダー」の読み合い

 ――1対0で常総学院が勝ちました。お互い無失策と緊張感もありました。

 宝田(日) (先発した)猶明が良い投球をしていたので、守備で粘って攻撃につなげようという話していました。

 若林(常) 自分を含めて足が全然動かなくて。でも小林が良い投球をしてくれて、そこはよかったと思います。

 北岡(日) 周りに声をかけても、声援でかき消されて、守っている時は1人のような感覚でした。とても緊張しました。

 若林 全く一緒です。

 小林(常) 立ち上がりが課題でもあったので、不安の中で初回を迎えていました。一回が終わってからは落ち着いて投げられたかな。相手の守備も粘り強くて、チャンスを作ってもなかなか点が取れず、苦しい展開でした。

 ――小林投手は投げては完封。五回までは毎回三振で、特にスライダーが効果的でした。

 宝田 試合前にまずは直球を狙っていこうと話していて、スライダーはあまりないイメージでした。試合に入ったらスライダーが多く、低めにいいところに決まる。なかなか攻略できず、試合を動かせませんでした。

 北岡 思っていた以上に、変化球の低めの精度が良かったです。

 小林 一回に1番打者が初球の真っすぐを打ってくれました。そこから「まっすぐ張りかな」と察して、変化球多めの投球にしました。相手の裏をかいたことになりますね(笑)

 ――常総学院の六回の先制点の場面は、四球とボークで無死二塁で、若林選手が1球で犠打を決め、先制の犠飛につなげました。

 若林 犠打には自信あったので、そこまで緊張感はなかったです。安打で点数が入らなくても、チームバッティングで点数を取れるのはチームの強み。自分たちの野球が出たと思っています。

 宝田 (五回終了後の整備で)一度間が空いた時に集中力を保っているかを課題にやってきました。四球から簡単に1点取られて悔しかった。ただ、1点でなんとか抑えたので、追いついて逆転していこうと話していました。

■「いちかばちか」の最終回

 ――九回裏の攻防は特に手に汗握る展開でした。宝田選手が先頭で四球を選んで、二盗を決めて好機を作りました。

 宝田 試合前に、小林君の投球を映像で見て、(走者が)一塁にいる時、2回目に首を動かしたら牽制(けんせい)がないという癖がわかっていたんです。そこで一か八かでいきました。

 小林 練習試合でも走られることが多くて……。マウンドでの間の取り方がへたくそだといつも監督さんに言われているので、なんでかなって思いながらずっとやっていたんですけど、聞けてよかったです(笑)

 ――その後、安打でつないで1死一、三塁。最後は遊ゴロ併殺打で終わりました。

 宝田 三塁走者で、本塁へ走りました。打球が弱かったこともあって、タイミング的に自分の中で(一塁は)セーフかなと思って。アウトと聞いて、悔しいっていう気持ちでした。

 小林 三振を狙ってたんですけど、初球の低めの球が(バットに)当たっちゃったんで、やばい! と。守備が何とかしてくれてよかったです。

 若林 本塁に投げても間に合わないと思って、いちかばちかでゲッツーを狙ったら間一髪アウト。ホッとしました。

 北岡 (同じ遊撃手として)1点を争う場面であのプレーが出て、普段からそういうところをこだわってやっていると思う。素晴らしいプレーだと思います。

 ――相手に聞きたいことはありますか。

 小林 自分からいかせてください。宝田くんに質問です。九回の打席、初球と最後の球は自分はストライクゾーンに入ったと思ったけど、どう思いましたか。

 宝田 入っているか、いないか厳しいところでした。最後は、三振でもしょうがないと思い切って低めを見逃したらボールだったので、よかったです。

 北岡 (挙手して)関東大会は相手も強くて勝ち抜くのも大変だったと思います。勝ち抜くにあたってどういうところをチームで徹底してやっていましたか。

 若林 球種を張ったり、ほかの学校でもできることがきちんとできて、秋の県大会から良い流れで関東大会につなげられました。

 宝田 小林君に聞きたいです。あの試合、自分たちは低めのスライダーに手を出して、三振も多かった。相手の裏をかけたと言っていたけど、「このチームは簡単だ」と感じましたか。

 小林 簡単ではなかったけど、低めの変化球は弱いなとは……(笑)。配球は捕手の片岡にほぼ任せきり。片岡の観察力は結構いいものがあるので。五回からは低めの変化球も全然振らなかったと思うけど、見極められているのもわかって、六回ぐらいから「ちょっと厳しいかな」とは思っていました。

 宝田 試合後半は低めのスライダーを見極めるところは徹底してやっていました。

 北岡 それでも、チャンスを作ってからの低めの精度が本当によくて、ちょっときついなという感覚でした。

 若林 宝田君に聞きたいけど、いいですか。九回の盗塁後、(遊撃手の)自分が牽制(けんせい)を入れたところ。あれはほか高校にやっても使えそうですか。

 宝田 タイムが終わってからですよね。自分も外野の位置の確認してから、少し気を抜いているところで来て結構危なかった記憶があります。自分も結構使えるのかなと。あそこでアウトになると無駄になってしまうので、本当に気を遣いながら塁にいました。(構成・大坂尚子)

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