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108年前「陸の王者」に決勝で敗れた公立校 春へ古豪復活ののろし

2024年4月5日11時00分

朝日新聞DIGITAL

 春の選抜高校野球大会が終わり、いよいよ高校球児たちは夏に向けて動き出す。昨年の第105回全国選手権記念大会は、慶応(神奈川)が107年ぶりに優勝した。しかし、そのときの決勝の相手は昨夏、グラウンドに立つこともかなわなかった。

 大阪府立市岡。学校の表玄関には大会の優勝盾や、甲子園に出場した時の旗が飾られる。全国選手権(戦前は全国中等学校優勝大会)と選抜に計21回出場している。市岡中だった夏の第2回大会(1916年)決勝で慶応普通部(現・慶応)に2―6で敗れたものの準優勝した。

 直近の甲子園は阪神・淡路大震災直後に開催された1995年の選抜だった。今、シート打撃では白い練習着の選手が内野にしかいないことがある。部員は選手10人、マネジャー4人。卒業生の野口諭史(さとし)監督(42)が選手だった頃、部員は約70人を数えたという。

 少ない人数でやりくりするため、野口監督は投手か捕手を含めた三つの守備位置に入れるようになることを選手に求める。ただ、「けがにより注意しないといけないので、練習で追い込みにくい」。一人でも試合に出場できないと、大会の棄権につながるからだ。

 昨夏の大阪大会。市岡は選手16人でエントリーしたが、1回戦の試合当日に体調不良者が続出し、不戦敗となった。昨夏も正捕手だった谷昊輝(こうき)主将(3年)は「先輩たちともう野球できないこと、夏までの努力が崩れていったことが悔しかったです」と振り返る。

 3年生が引退し、新チームは9人でスタートした。「練習中に活気を出すのが大変。だからコミュニケーションを多くとるようにしています」と谷選手。秋季府大会は10人で出場し、3回戦で槻(つき)の木に延長戦で敗れた。相手は勝ち進み8強に入った。谷選手は「もっとやらなければ勝てないという気持ちになりました」。冬場のやる気につながった。守り、打撃ともに基礎固めに力を入れた。

 市岡によると、多いときには1千人近い全校生徒がいたが、2023年度は約820人。辻本利勝校長によると、「特に男子の割合が下がった」。府立高校全体でも24年度入試の一般選抜での志願者数は前年度より約2300人減った。

 4月6日に春季府大会が開幕する。谷選手は「2年前の夏に到達したベスト32をまずは目指したい。そこから一つひとつ勝ち上がっていけるようにしたいです」。選手らは新1年生の勧誘にも力を入れる。古豪復活へ、昨夏の借りを返すつもりだ。(岡田健)

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